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外国為替取引マニュアル 第1巻
マーケットのしくみ |
テキスト
(10頁) |
120分 |
林 康史 |
12,500円
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外国為替取引マニュアル 第1巻
元・外国為替ディーラー、マーケット・エコノミストとして
著名な林 康史氏による体系的な外国為替取引講座 |
講師 林 康史 (はやし やすし)
立正大学経済学部教授
◎外為法改正のポイント ◎他のマーケットとの違い
◆外国為替取引の基本
1)外国為替の種類
2)外国為替市場
3)ディーラー用語
4)外国為替相場のリスク
◆為替レート
1)スポットレート
2)表示方法
3)フォワードレート フォワードレートの概念
4)ディスカウントとプレミアム
5)ロールオーバー
6)クロスレート チェーン(クロス・レートの計算方法)
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◎外為法改正のポイント
「外国為替及び外国貿易法」(改正外為法)98年4月から施行されました。法律の題名も、「外国為替及び外国貿易管理法」から『管理』の文字が削除され、「外国為替及び外国貿易法」に変わり、内外本取引や外国為替業務が大幅に自由化ざれることになりました。日本版金融ビッグバンの先陣と位置づけられている改正です。
ところで、いろいろな資料には、外為法改正が「金融ビッグバンのフロントランナー」であるという表現になっていました。単にトッブランナーという意味だと思うのですが、実は、この言葉は相場を業とする人にとって、あまりよい単語ではありません。というのも、フロントランニングというのは、客玉を事前に察知して自己玉で先に売買し、その後、客の注文を出して自分は手仕舞うという違法行為のことです。ですから、フロントランナーというのは非常に悪い意味を持っています。なぜこういうイメージの悪い表現を採用したのか不思議なところですが、いずれにせよ、金融ビッグバンという金融システムのリストラクチャリングの第一陣として外為法改正が位置づけられるのです。
わが国で前回、外為法改正が行われたのは、79年(80年施行)で、このとき、国境を越えた資金の流出入が原則的に自由となり、機関投資家の資金が外に向かいました。本邦機関投資家は、このときからほとんど自由な状態だったといってよいでしょう。
私は、79年の外為改正法が第1次の改正だと思っています。日本は、そのときには一番先頭を走っていたのですが、先に改正をやったがゆえに、その後、改正をせずにきたのです。欧州が統合へのステッブとして90年の7月までに外国為替の制度改正をすることになり、各国が89年改正・90年施行ということを行ったので、今後は逆に日本の制度が時代遅れになりました。そこで、第2弾として97年に改正が行われたと理解できます。
今回の改正によって、鎖国状態が突然開国ざれたというような極端な変化があったわけではありません。欧州大陸で1回で行われた制度改正が、日本では2回に分けられたと考えれば理解しやすいと思います。
ここで、一般消費者・投資家の視点で改正外為法を総括してみたいと思います。
まず、法律の名から『管理』が抜けたことはすでに述べた通りですが、これは法改正の意義を端的にあらわしたものでした。「外国為替業務の完全自由化」「内外資本取引の自由化」などと言われてもピンと来ないかもしれません。最大のポイントは為銀主義が撤廃されたことです。為銀主義とは法律用語ではないのですが、要するに、外国為替取引に際しては、当事者の一方は外国為替公認銀行(為銀)でないといけないというものです。銀行以外には外国為替取引の自由はなかったのです。
ロッキード事件のときに、故・田中角栄元首相が逮捕された容疑の1つは外為法違反でした。当時、私は、検察の苦労を感じて苦笑いしたものでした。いわば別件逮捕に思えたからです。為銀主義の下、銀行に外国為替業務を集中させるかわりに、本来なら取引当事者あるいは行政が行うべき適法性確認義務などの仕事を銀行に代行してもらっていたわけです。
◆誰でも外国為替取引ができる
法改正で、どこでも誰でも外国為替取引ができるようになりました。これまでは、海外旅行で余ったドルを友人に渡して円を受け取るという行為は、たとえ、その額が数ドルといえども犯罪であり、懲役3年もしくは100万円以下の罰金でした。それが、相手が同意すれば、日本国内で外貨で支払うことができるようになったのです。
◆誰でも対外貸借・海外預金・外貨決済ができる
たとえば、米国にドル預金口座を開設して米国の通販での買い物を決済することができるようになります。手数料が随分とセーブされることになります。ただし、小口だとあまりメリットはありません。外国に子弟が留学している場合や、外国での仕事が多い人にはずいぶんとメリットが広がることになります。投資家としても直接外国への投資ができるようになるわけです。
3)フォワードレート
フォワードレートは一般に先物為替(相場)と呼ばれるが、フューチャー(通貨先物と区別するため、先渡し為替(相場)と呼ぷこともある。フォワードレートはスポットの対語であり、取引契約成立後の3営楽日以降の将来の一時点(または一定期間)に引渡す約束の外国為替取引のことである。スポットとの違いは外国為替取引の約定(契約締結)と実行(引渡しと決済)の時期がずれていることである。フォワードは将来の変動リスクを回避するために使われる。たとえば外国と輸出契約をしたが、その代金回収が6ヶ月先だとする。6ヶ月先まで待ってスポットで円転することもできるが、6ヶ月先になって円高が進行していれば円貨での売上高は目減りして損をするかもしれない。もちろん、反対に円安になっていれば為替差益が出て儲かることになるかもしれないが、リスクを取りたくなければ現時点で6ヶ月先の円転のレートを決めておくこととなる。このレートを決定する約定を先物予約という。
ほとんどの通貨は1年先ぐらいまで予約をすることが可能で、主要通貨間だと5年先のレートもおさえることができる。実行日は自由に設定できるが、通常、スポットから1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月先とすることが多い。これらスポットから1~12ヶ月などの型にはまった月毎の期日のものはレギュラーと呼ばれる。もちろん、8日後とか46日後とか、待殊な期日(オッド・デートという)にも設定できるが、インターバンクでは基本的にはレギュラーの取引しかなく、オッドを顧客から受けると銀行がレギュラーとずれた期間の相場変動リスクを負うため、割高な(顧客にとって不利な)レートとなることが多い。
フォワードレートはスポット・レートに通貨間の金利差を加滅して計算される。たまに現在のスポット・レートがそのまま将宋のレートとなると思っている人がいて、どうせ実需に充当するのだからドル高の時に何年分もドル売りしてしまえばよいというようなことを言う。しかし、お金には金利というものがくっついてくる。ドルを一年間預けておれば利息が付く。そこにある金利差を勘案しなければならない。
フォワードレートの概念
フォワードレートの仕組みについては次のような説明がされることがある。円の金利が5%のときに、円より高い全利の通貨があって、これが仮に10%の金利だったとする。お金は基本的には低い金利から高い金利のはうに流れ込む。当面使うあてのない余剰資金は普通預金より定期預金に預けたいと思うのは個人でも企業でも同じだ。A社は金利の低い円を高金利通貨に換えて(円売り高金利通貨買い)、10%の金利で1年間運用したいと考えた。ところが、1年先が円高になってしまっていると1年後に円転するときに為替差損(円投の時と円転の時の為替レートの差で発生した損。益となっている場合は為替差益という)が発生してしまう。
そこで、A社は円売り高金利通貨員買いをした後(または同時)に1年後に円に戻す予約をしようとする。こうした行為はヘッジと呼ばれるが、これで円高になっても資金が目滅りするリスクはなくなる。もし、現時点でのスポット・レートと1年先のフォワードレートが同じだったとしよう。今述べた一連の作業がうまくいけば、為替のリスクなしで、円で考えても10%の金利が確保できることとなる。そんなうまい話なら誰でも乗ることだろう。1年先の円転予約が殺到する。従って、1年先にその高金利通貨を売るレートはどんどん下がっていく。1年後に外貨を円に戻すときの為替差損が2通貨間の金利差の5%より大きくなると高金利のメリットどころではなくなり、誰もそんな馬鹿らしい取引はしなくなる。そこで1年先の外貨売り(円買い)はストップする。
もし、2通貨間の金利差以上にその1年先の高金利通貨売り円買いのフォワードレートが下落した場合には、前記の一連の作業の反対(高金利通貨を円に替えて、5%の全利で1年間運用すると同時に、1年先の円売り高全利通貨買いを予約)を行えば、金利面での運用は見劣りするものの為替差益が出て総合的な利回りでは高金利通貨の運用よりパフォ−マンスはよくなることから、こうした反対の動きが起こる。つまり、各国の投資家が時間的ずれがまったくない状況で(為替リスクが完全に回避されて)自己資金の総合的な利回りが最高となるものを選択するという考えだ。ただし、前提として税制等何ら規制・制約がないという条件が必要であるが。
結局、どっちが得かよく考えてみなければわからないところに収斂し落ち着く。すなわち、スポット・レートどフォワード・レートは2通貨間の金利差に等しいところでバランスが保たれることとなるということだ。これを金利裁定という。
厳密にはこのようなさや取りの動きが大規模に発生すれぱ金利も動くということもある。フォワード・レートの仕組みについては、また、次のように考えてもよいだろう。外国為替取引がスポットで約定し、決済されれば金利面でも何も問題はない。しかし、フォワードの取引ということはその受渡しを企業が銀行にずらしてもらうことである。そう考えると、たとえば企業が輸出する側でいえば、銀行側としては本来なら外貨が入金されてくるスポットの日に外貨が入ってこないわけだから理論上バランスをとるために他の銀行から外貨を借りてこなければならない。借りる期間はフォワードの受渡し日までだ。反対に、銀行にとっては本来ならば円貨を渡すべきスポットの目に円貨が不要で、その円の資金をスポットの日からフォワードの日まで運用できる。つまり、輸出企業のフォワードの取引というのは銀行側からすればスポットの取引に比べて外貨を借りて円貨を貸すという行為が追加されると考えてよい。
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